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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.3
【監督スティーブン・スピルバーグ】
 第21回監督作品
◆ジャンル:  
 コメディ、伝記ドラマ

〈見処〉
①娯楽映画の最高峰
・『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(原題:「Catch Me If You Can」=意訳:鬼さん、こちら)は、スティーブンスピルバーグ監督による、2002年公開の伝記コメディ。
・本作の舞台は、1968年のニューヨーク州ブロンクスヴィル。フランク・W・アバグネイルJr (レオナルド・ディカプリオ)は、家族の愛を目一杯受けて育った16歳の素直な青年。
・しかしながら、彼の父親の事業が失敗し、家族の生活は困窮。更に彼の母親は恋人を作り、仲の良かった両親の離婚を目の当たりにしたフランクは「金さえあれば」の思いを強くする。
・両親のどちらと一緒に住むか迫られたフランクは衝動的に家出。マンハッタンに渡ったフランクが目をつけたのは、確固たるステータスを持つパイロット。口八丁で制服を手に入れたフランクは、パイロットに身分を偽って生活を始め、また、社会的信用の高いパイロットが小切手を使うと、誰も怪しむことないことに気付く。
・偽パイロットとして世界中を旅しながら、偽造小切手で稼いだ金で優雅な生活を送るフランクに対して、FBIが捜査の捜査が忍び寄る…
・本作は1960年代にパイロットや医師、弁護士に偽装(弁護士の資格は本当に取得)し、「天才詐欺師」と言われたフランク・W・アバグネイルJrと、彼を追うFBI捜査官ハンラティ(トム・ハンクス)を人間味豊かに描いた、伝記ドラマの傑作である。

②どこまでが実話?
・事実は小説より奇なり!?本作は、1980年、アバグネイルJr.の人生をベースとした小説『Catch Me if You Can 』を基にした映画化されたもの。
・アバグネイルJr.は、歴代の詐欺師と比較し、金額こそ突出してはいないが、16歳の若さで活動を始め、その大胆な手口がしばしばTVで取り上げられていたことから、よく知られた存在だったそうだ。
・まるでフィクションのようなストーリーであるが、真偽は以下のとおりらしい。
[○:事実 ×:フィクション]
○: 教師に成り済まし、授業を受け持つ。
○: 偽パイロットとして、無料で世界中を飛び回る。
○: 小切手詐欺により、当時のレートで250万ドル以上に相当する不渡り小切手を26カ国で乱発する犯行を重ねる
○: 医師として、小児科の研修医の指導者として勤務
○: ハーバード卒を偽り、ルイジアナ州の司法試験を受験し、合格。
○: 空港にて、移送途中の飛行機から逃走
×: トム・ハンクス扮するFBI捜査官ハンラティは複数の人物をモデルとした架空の人物。
×: 看護婦ブレンダに関するストーリー。
×: 買い物途中にあったアグネイルを確認され、逮捕に至る。FBIに電話した事実はない。

③結び…本作の見処は?
スピルバーグによる娯楽作の中でも、万人に愛される作品に仕上がっている。
○: フランクの詐欺手法と行き当たりばったりの人生を非常に小気味良いテンポによるコメディ調に描かれ、退屈させられない。
○: 本作の舞台となる60'sを意識した演出と美術が素晴らしい。
○: 鑑賞者の興味を引き立てる、冒頭のTVショーの人物クイズから始まる構成は秀逸。
○:『プライベートライアン』に続く、トムハンクス出演のスピルバーグ作品。ディカプリオとハンクスの関係性がよい。
○: フランクの屈折した家族愛はスピルバーグ作品さながら。
○: クリストファー・ウォーケン扮するフランク父のプライド高い転落人生が、本作の良いアクセントになっている。
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