ヘルツォークに比べると、圧倒的に狂気がなくて、終始バーベット・シュローダーの知性に支配されてしまっているのですよねえ。
ビュル・オジェでいうと、ダニエル・シュミットの『カンヌ映画通り』のような、ウサギの穴に迷い込むアリス感はなく、ビュル・オジェと行くアフリカ旅行のドキュメントという感じ。
舞台設定を大きくしてしまったせいで、シュローダー特有の遊戯性が薄まってしまった。
もっとミニマムにすれば、良かったのかもしれない。
シュミットのようにカンヌに迷い込ますだけで、ビュル・オジェは輝く。
とは言っても、嫌いにはなれないキュートな作品ではあると思う。