ゴン吉

ケイン号の叛乱のゴン吉のレビュー・感想・評価

ケイン号の叛乱(1954年製作の映画)
4.0
アメリカ海軍の老朽掃海艦ケイン号の艦長と乗組員が繰り広げるヒューマンドラマ。 
原作はピューリッツァー賞を受賞したハーマン・ウォークの小説。 
ロバート・フランシスが主演、ハンフリー・ボガード、ヴァン・ジョンソン、フレッド・マクマレイ、ホセ・フェラー、トム・テューリーらが共演。  

第二次世界大戦中の1943年、名門プリンストン大学を卒業したウィリー・キース(ロバート・フランシス)は、士官学校で教育を受けたのち、アメリカ海軍の老朽掃海艦ケイン号に少尉として配属される。艦長のデヴリース少佐(トム・テューリー)はだらしない身なりで艦内の規律も乱れていたが、乗組員たちからは慕われていた。やがてクイーグ少佐(ハンフリー・ボガード)が新艦長として着任するが、彼は厳格で細かいことを気にする性格で、乗組員に対して風紀や自分の命令を徹底させる。しかし訓練中に標的のロープを切断してしまうミスを起こすがそれを隠蔽したり、ジャコブ侵攻作戦では日本軍の砲撃を受けると距離を偽って上陸用舟艇の援護任務を放棄して戦線離脱するなど自分に対しては甘く、一方でデザートのイチゴの残数が合わないと部下に徹夜で調査をさせるなど他人には厳しい態度をとったため、次第に乗組員たちの信頼を失っていく。そんな中で、ケイン号は台風に遭遇し、艦が大破したのにもかかわらず、クイーグ艦長の命令は前進あるのみで艦の沈没が危惧されたため、副官のマリク大尉(ヴァン・ジョンソン)は艦長権限を剥奪して指揮を代わる。マリク大尉による上官の指揮権剥奪が問題となり、軍法会議が開かれる....   

作品前半は厳格な性格の艦長と彼の精神異常を疑う部下たちのヒューマンドラマが繰り広げられ、作品後半は軍法会議の法廷劇が描かれている。
リーダーによる部下に対する厳格と寛容のバランスや組織運営の難しさを痛感させられる。
艦長の精神状態は本当に異常だったのか軍法会議が下した裁定に注目です。 
「”ケイン号の反乱”の作者に 乾杯だ」 
キース少尉は、士官学校卒業時には上官や親の意向に従うだけで、自分の意思を相手に伝えることはなかったが、彼女との関係をメタファーにして人間としての成長も描かれている。
キース少尉の新たなる船出が清々しい。 
「キース 出航だ」  

2024.4 NHK BSで鑑賞(プレミアムシネマ・字幕:深沢三子)
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