ハマジン

パーフェクトブルーのハマジンのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
3.5
再見というかスクリーンで初浴びしてきた。

改めて、映画冒頭の語り口の只事じゃなさがハンパではない。
アイドルソング『愛の天使』前奏と共に野外ステージに躍り出たヒロイン未麻がライトを正面から浴びるカットがホワイトアウトしてタイトルが浮かび上がると、突如音楽が前奏のまま歌に入らずふっつりと途絶える(ここからしてすでに不穏)。つづいて未麻の日常シーン(電車で帰宅する、スーパーで買い物する、横断歩道を渡る…)と、アイドル未麻にとっての最後のライブシーンとが、動作のアクションつなぎを支えに交互にクロスカットされていく。結果、当該アイドルソングが視覚/聴覚共々ズタズタに切り刻まれた状態で観客に提示されることになる。
この、アイドルライブ的「没入感」を徹底的に排除せんとする編集の容赦のなさ。「アイドル」映画でとことん恐ろしいスリラーを作ッたる!という製作陣の血走った殺気をヒリヒリ感じた。

劇伴(幾見雅博)も本当によくて、特に前半、女優転身した未麻のワンルームアパートに送りつけられる「裏切者」と書かれたいやがらせFAXが吐き出す、不気味に無機質な印画ノイズ音が背後にずーっと流れているような音楽の、厭〜な感じがたまらなかった。
ポータブルデッキから爆音で流れる音ガビガビの『愛の天使』が近づいたり遠のいたりする、地下駐車場シーンも鳥肌もの。
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