喜連川風連

パーフェクトブルーの喜連川風連のレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
4.6
出会ってしまった言語化不能な名作。

僕はこういう作品を待っていました。

言葉で説明できてしまう映画ほど、野暮なものはない。
映像表現なんだからしのごの言わずに見てくれ!!!と発狂したくなる映画が名画だと思う中で、これは怪作であり、傑作。

現実と虚像を対等に描くことで、虚像の中で生きる現代社会に現実の不安定さを問いかけ続けた今敏さん。

僕の一番好きな監督さんであり、早く失い過ぎてしまった日本の宝である。

本作が監督デビュー作。

今さんがデビューの時期からインターネット社会を見据えて、
現実の自分とファンの中でのアイドル像、ドラマの中での女優像の違いを描いていたことに戦慄する。

昨今のAKB関連事件を予見していたかのような世の中を見る目の鋭さを感じさせる。

「パラレルワールドラブストーリー」が映画化されたが、映画化するのであれば、森義隆氏のようなドキュメンタリーテレビ出身の監督などではなく、確実に今敏さんだっただろう。
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