すぎもry

トムボーイのすぎもryのネタバレレビュー・内容・結末

トムボーイ(2011年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 監督の余りに素晴らしい技量のせいで、最終部、主人公が虐められるシーンが、狂気に満ち溢れている。『裁かるるジャンヌ』顔負けの超クローズアップの応酬で、主人公は、好奇、嘲り、非難、、、あらゆる視線に襲われる。まるでその姿は、異端審問を受けるジャンヌのよう。(ジャンヌとミカエルが兄弟なのは、ドライヤーへの目配せ?)

 この映画を「自分の物語」として、またエンパワーメントとして、捉えようとする観客を恐怖のどん底へと突き落とす。「見られる」ことの恐怖を最大限に強調したあのシーンは、トラウマになる、また過去のトラウマを甦らせる可能性を大いに秘めている。

 これまでスクリーンで語られることの少なかった「自分の物語」がこの映画で語られていること、また、「あの子の物語」が映画として存在している意義は、大いにあると思う。しかし、先のシーンや少々突き放したような結末は、まだまだ「自分の物語」が十分に存在していない現在を踏まえると、心細さ、不安を覚えずにはいられない。
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