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死にゆく妻との旅路のdarumaのレビュー・感想・評価

死にゆく妻との旅路(2010年製作の映画)
3.8
GYAO。これはテーマは良いのに脚本と演出が凄く微妙…と思ってたら、後半引き込まれて、最後泣いてしまった。実話ベースです。(と最初に出ます)

50過ぎの初老の男が借金を背負い、余命わずかな年下の妻と旅をするロードムービーなんですが、まず、そのロードムービーに至る理由がいまいち判然としない。逃げてるわりには追っかけて来ないし、行き先が決まっている風でもない。結構な広範囲を服装を変えながら移動するので、お金あるのか…?と思ってしまい、脱落しそうになる。

ですが、途中から、「あ!これさっきと同じ服だね…」とか、ハローワークに行っても年齢制限で職がない。つまり、生きたくても生きていけない。みたいな状況が見えて来て、ちょっと切なくなる。

旦那さんは元気で体力が有り余っているので、働き口は探せばあるとは思う。でも、奥さんが病院に行けばいいんですが、それを拒んでしまうが故に、旦那さんは働けない…と書くとちょっと端折りすぎですが、ある意味、老老介護に近いものがあります。

ワゴンに乗せた奥さんを放ってはおけないし、まず奥さんが旦那さんから離れるのを嫌がって泣いちゃう。冷静に見ると、この奥さんちょっとわがまますぎなんじゃ…と思ってしまいますが、タイトル通り、死にゆく人のそれくらいのわがまま、聞いてあげてもいいんじゃないだろうか…とも思ってしまう。

ナースコールみたいな仕組みを作った旦那さんに「おお!凄い」と思ったんですが、それが逆効果になるシーンを見て、まさに…!!そういう事なんだなと思った。利便性じゃなくて、気持ち。

ずーっと、奥さんが旦那さんのことすっごく好きなんだな…と思いながら観ていたので、最後はほんと、うっと来ます。
そういう意味では、凄く巧い作り。(最後の最後に持ってくるか!!泣いてまうやろー!)

劇伴が岡本定義さんだった!
セットで音楽プロデューサーがオフィスオーガスタの穂苅太郎さん。

この作品、確か監督目当てでストックしてたんだけど、誰だったっけ…?
塙幸成さん。
宮崎あおいちゃんが出てる三億円事件の「初恋」の方でした。
そちらも劇伴が岡本さん(COIL)だった!納得。
実話ベースだし、そういう意味で、こういうのがお得意なのかな…?
(監督さん含め)

演者さんが綺麗すぎるきらいはありますが(どうしても死にゆく感じに見えない…苦笑。最後の方はかろうじてそう見えますが)、ほぼ二人芝居なので、綺麗どころじゃないと商業作品として成り立たないというのはあるのかも。

前半の没入できなさ、共感性の無さを乗り切れれば、後半は結構いい感じだと思います。
ラストのために最後まで観て!って感じかな?
視聴後感は悪くないです。というか、とてもよかった。
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