ちいさな泥棒

白昼の通り魔のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

白昼の通り魔(1966年製作の映画)
3.5

信州のとある農村で村長の息子に体を差し出し資金援助を受けて事業を始めるも洪水によって頓挫。息子に無理心中を迫られるがシノだけが生き残ってしまう。気絶しているシノを英助という粗暴な男が助けるが日頃からシノに思いを寄せていた英助はシノに襲いかかり…


このあらすじだけを読む限りシノをめぐる悪夢のような物語かと思って観始めたので最初はなかなか掴めず「???」。タイトルの『白昼の通り魔』もなんだろ?すぎて物語を飲み込むまでに時間がかかってしまったんだけど、他にも重要な登場人物がいたり奇妙な三角関係(四角)の物語だった。どちらかというと、歪んだ女同士の物語であったり。

シノは村を離れて隠れてくらしていたんだけどそこに英助が現れる。シノは英助が世の中を震撼させている「白昼の通り魔」なのではと確信する。本人も襲われ警察で取り調べを受ける事になる。その間に英助と婚姻関係にあった村に住む"先生"に連絡をとり二人で英助を探し出そうということになるというのが大まかなあらすじ。

その間に主に先生の回想が挟まれるのでシノより先生のほうが主人公的な立ち位置。なぜ英助は白昼の通り魔になってしまったのか。

あっさりとやってのけていたり、映像がとにかく芸術の域なのでどうして英助はそうなってしまったのかという、実はとんでもない性癖になっちゃった英助の話がとんでもなく感じなくなるという不思議さ。大島渚の凄さなんだろうなと思います。

それでも意地で愛さずにはいられなかった女の嫉妬や妬み、愛さえあれば特殊な部分も愛せると思っていたおごり。

鏡のシーンやしつこいくらいの編集の巧みさ、日本でもあんなカッコいい作品撮れるんだなぁ。透かせば日本人の瞳もビー玉のように綺麗だってことも知れた。


ああダメだ、書きたいことが色々あるけどまとまらないので一言。2回出るタイトルが震えるほどクッソカッコいいです。