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つぐないのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

つぐない(2007年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

どうにも見辛く感情移入しにくい映画だった。筋書きはシンプルだし、嘘の証言で冤罪を着せてしまうというテーマも気持ちが入り込みやすいもののはずなのだが。

同じシーンを視点を変えて2回流す演出が数度あるのだが、この演出は全く上手くいっていない。1回目で多分そうだろうなという印象を2回目でそのままご丁寧に説明するだけなのである。観ていて非常に冗長だし、1回目のシーンの余韻のようなものが台無しである。このような演出は「実はこう見えたけど真実はこう」というときに使うものであって、ただ視点を変えただけの同じシーンを繰り返すのは無意味どころか興を削ぐだけ。

そしてこのテーマなら妹の少女の視点で固定した方が絶対に感情移入できるのに、この映画は視点も時系列もあっちこっちにいったりきたりする。戦争のシーンも本筋に一切関係がないのにやたら長い。シンプルなストーリーをそれっぽく見せたいだけにしか思えなかったのだが、ラストになって実はこの映画は妹が書いた小説だったことが明かされる。え、だからあえて見辛くしていたってこと?そのほうが文学的だからってこと?しかも長ったらしい後半のシーンは全部妹の妄想だったってこと?というか償いのつもりで小説を書いたにしては展開が自分に甘すぎない?こんなの何の償いにもならないけど。結局自分に酔っているだけで、心から悔いているとはとても思えない。

キーラ・ナイトレイとジェームズ・マカヴォイの華だけでもっている作品。ただジェームズ・マカヴォイは女子供といるときは気にならなかったけど、戦争のシーンになると途端にスタイルの悪さがあらわになり、化けの皮が剥がれた感があって残念だった。キャラクターとしては嫌いだけど、妹の少女時代を演じていたシアーシャ・ローナンも雰囲気があって良かったかな。
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