ペコリンゴ

ぼくの大切なともだちのペコリンゴのレビュー・感想・評価

ぼくの大切なともだち(2006年製作の映画)
3.8
記録。
君は僕のたった1人

『仕立て屋の恋』などを手がけたフランスの名匠パトリス・ルコント監督によるちょい哀愁系ヒューマンコメディ。

美術商のフランソワは自身の誕生日会で友達がいない事を指摘され、共同経営者のカトリーヌとある賭けをする。その賭けとは10日以内に親友を連れてくること。思い当たる何人かをあたるも手応えのないフランソワは、ふとしたキッカケで出会った人当たりの良いタクシー運転手ブリュノに友達作りのレッスンを請うのだが…。

富も地位もある孤独な中年男が友達作りに奔走するコメディで、フランス映画にありがちな取っ付きにくさも無くサラっと観れる作品です。

誕生日なのに周りの皆んなから「友達が居ない」「お前の葬式には誰も来ない」なんて言われちゃうフランソワ。確かに無神経で何でも金で解決する嫌な性格の持ち主だけど、明け透けに言う周りも凄い。

当然、友達くらいおるわクソが!(こんな言い方はしてないけど)とフランソワはムキになるワケですが、そんな彼の友達探しがなかなかに切なくてですね…。

きっと初めてなんでしょうね。俺マジで友達おらんやんって自認するのは。友達作りのHowTo本を探す中年男の姿なんて正視に耐えませんよ。

それでもなんかクスっとしちゃう滑稽さがあってハイレベルなユーモアを随所で感じさせてくれます。

フランソワとは対照的に、誰とでも分け隔てなく接するブリュノはとてもお人好し。赤の他人の友達作りに親身に協力するなんて普通ムリですよね。とはいえブリュノも実は…でして。

正直、終盤の展開は今ひとつに感じちゃったものの、2人の奇妙な関係性がやがて友情に発展していく様子は胸熱ですし、爽やかな余韻を残すラストも素敵。

良い映画を観たなって素直に思える作品でした。