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THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者の教授のレビュー・感想・評価

THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者(1989年製作の映画)
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13分の短編映画。
あっという間に終わってしまうのだが「俗と聖」と「最小と最大」という映画的飛躍が楽しい作品。

「指圧師」である浪越徳治郎がアンナ・ホール演じる女性の、指圧していく中で、その精気や理力を「継承」し、最後は物質としても消滅して昇天する、というストーリー。

短い尺ながら、長編の企画がなかなか通らず映画を撮ることができなかった時期の石井監督の、その模索として自身のこれまで採り上げなかったテーマを、石井監督らしく突き詰めた結果、外部への破壊的なイマジネーションから「内側」に反転し、インナースペース的な世界観の広がりに結びつけているだけでなく。
一方でメンター的な浪越徳治郎の男性的なエネルギーを最終的には「女性」が吸い付くし、やがて物質としての形も消滅するイメージというのは、後年の作品の萌芽でもあるし、ジェンダーフリーな突き抜け方も感じさせて面白い。

その点の「突っ走り方」の澱みなさが石井聰亙の映画の最大の魅力でもある。
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