スポック

にごりえのスポックのレビュー・感想・評価

にごりえ(1953年製作の映画)
5.0
明治時代の女性の生きる術の選択肢を自分で選びづらかった社会での不幸な物語。

家柄や貧富の差であからさまに差別や嫌がられせのDVを受ける女性は、実家のため世間体のために事を荒立てずに我慢を強いられ耐え続けなければならない女性たち。

資本家と雇われる身との大き過ぎる境遇の違いに人権も労働環境も踏み躙られるパワハラのなかで忍耐と我慢を強いられる女性たち。

貧しさから自分が望んでいない境遇を強いられ、自由に恋愛や愛情表現も出来ずに男からセクハラを受けオモチャのように扱われ、挙句にその命まで無理矢理に奪われる理不尽な女性たち。そしてその陰で夫であり父親であるべき男の身勝手と無責任に振り回されて人生の重荷を全て背負わされる女性たち。

ジェンダー・パワハラ・セクハラ・DV…過去の不幸で差別的な習慣や意識を改善していくために必然的にたどらなければならない改革だと改めて納得する。