つかれぐま

ペーパー・ムーンのつかれぐまのレビュー・感想・評価

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
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なんて可愛らしい映画。
孤児アディと(父親なのかもしれない)詐欺師の珍道中。どんどん成長していく少女の変化を演じ分けるテータム・オニールの天才子役ぶり。

冒頭こそ詐欺師モーゼの視点だが、すぐに映画はアディの物語へと変わる。テータムは助演女優賞を最年少で獲ったが、これは紛れもなく彼女の「主演」作だ。

一幕目は父親が欲しいアディ。
二幕目でそれはちょっと背伸びした「疑似恋愛」へと変わり、
最後の三幕目では、だらしないこの「父親」をアタシが守ってやんなきゃという、実に頼もしい面構えへと成長する。

ずっと大人に庇護されたいと願っていたはずのアディが、冒険の末に着いたレモネードとピアノがある家。9歳の少女にとっては理想的なはずの場所が、アディの眼にはどう映ったのか。色んなことを知ってしまった彼女に必要なのは、もはや保護者ではなく「相棒」だったのだろう。

「私の200ドルは?」
序盤とラストで登場するこの台詞。同じコトバでも込められた意味が違って聞こえて来る。この変化を演じ分けてみせたテータムの演技が素晴らしいね。