Mikiyoshi1986

もだえのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

もだえ(1944年製作の映画)
4.0
本日はイングマール・ベルイマン監督の生誕98周年記念日!

本作はベルイマンが助監督時代に初めて脚本を担当し、第一回カンヌ国際映画祭において見事パルムドールを受賞した記念すべき作品です。
(言うても第一回のパルムドールって11本もあるんだけども)

この頃から主人公にあてがわれる高圧的な人物の存在、そしてその抑圧に苦悩する構図は既に完成されており、
一応遺作と云われる「ファニーとアレクサンデル」に至るまで、そのプロットを貫き通したことにベルイマンの内情やコンプレックス、ルーツなどがうかがい知れます。

一貫して人間の内面に潜む「罪悪」を描いたベルイマンは、
学生・サディスティックと小心翼々な二面性を持つ教師・売店の女という三角関係を用いて、それぞれが持ち合わせている「罪悪と苦悩」にスポットを当てています。
そしてそれと向き合い暗雲から脱する時、人間に宿る生命の輝きを大いに賛美してくれるのです。

これはシェーベルイ監督の趣向なんだろうけども、影の使い方がとても上手で見せ場のサスペンス・タッチが観客の心拍数を巧みに上げていきます。

また、当時の歴史的背景から
ヤンエーリク→スウェーデン
教師カリギュラ→ナチスドイツ
ベルタ→ノルウェー兼デンマーク
校長→連合国軍
という観点で観るのも面白いかも知れません。
Mikiyoshi1986

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