はんそく負け

蛇の道のはんそく負けのレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
3.9
どう形容すればいいんだろう。映画から温度というものを極限まで取り去ったもの、とでも言おうか。終盤の廃ビルでの銃撃戦は特にそんな印象で、冷たいとか乾いたとか、そんな安っぽい言葉では到底表せない「出来事」がただただ映し出される。たとえば『回路』なら映画なるものが我々観客に向けて差し迫ってくる、映画が現実に侵食してくるような瞬間があるが、この映画はただ目の前に「出来事」があるだけで、しかしだからこそ映画そのものが剥き出しになっているような感触がする。得体の知れない何かが、ただそこにある。少女が立ってこちらを見るだけのショットが異様なまでに怖いのは、それ故ではないか。