shibapei

蛇の道のshibapeiのレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
3.9
黒澤清の傑作。
余計な説明、伏線も無く研磨され研ぎ澄まされている。

もうね、ビンビンに尖ってた時代の哀川翔と香川照之の2人が車の中で不穏な話して坂道登ってるだけでもう絶妙に怖い。

あのだだっ広い倉庫のロケーションもこの不気味さに一役買っている。
序盤、宮下が大槻に拳銃を構え新島に制されるシーン、ドア越しにカメラが突っ込んでいって、感情がおさまるとまたカメラがトラックバックしていく構図、カメラワーク、キューブリック的美しさ。
倉庫内での歩く距離が伸びるので、
その強さ早さで演者の意志が伝わる。 

便を垂れ流させたり、水をかけたり、食事を目の前でひっくり返したり【その後宮下がパンに泥付けてポイっと投げる】等、残虐な拷問よりも身近で僕らでも想像がつく事が、不快さがより伝わってくる。

宮下の最も見たくない映像を強制的に見せられ、耳を塞いでいたが、もはや正常でいる事を諦め、狂い、塞いだ耳を解き、段々興味すら湧いてる表情。凄い。怖い。

そこから
新島【アンタも興味あんの?】

おいおい、その言葉俺に言ってんのか!!
と観客に投げる。秀逸。
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