アキラナウェイ

マジェスティックのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

マジェスティック(2001年製作の映画)
4.3
「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」のフランク・ダラボン監督なのか!!

どおりで良い筈だ。
観終わってから気付いた。

1951年。ハリウッドの脚本家ピーター・アプルトン(ジム・キャリー)は、共産主義者との疑いをかけられ、公開予定だった新作映画は白紙となり、スタジオ契約も破棄されてしまう。

自暴自棄になり、酒を飲んだ上で運転していたピーターは橋から落ちて、ローソンという町に流れ着く。事故の影響で記憶を失くしたピーターを町の人々は、第二次世界大戦で行方不明になっていたルークだと勘違いし始めて—— 。

ジム・キャリーは偉大なコメディアンであるが、同時に素晴らしい役者である事を改めて感じさせられる。

顔芸、なし。
笑わせる要素、なし。

でも、内面の深い感情をしっかりとその表情に宿す事が出来る。この人、やっぱり上手いわ。

当時のアメリカで語られるべき重要なテーマが2つ。

ローソンの町を見回した時に気付く、あまりにも多くの若者達が戦争で還らぬ人になった事実。

そして時代は第二次赤狩りの真っ只中。政府が国内の共産党員およびその支持者を見つけ、社会から排除させようと躍起なっていた頃。

これらの事象が重なって、ピーター/ルークの物語が紡がれていく。

父親も恋人も、町の皆んなも、何処かで薄々気付いていた筈なんだ。ルークが還ってくる筈なんてないって。でも、あまりにピーターが彼に似ているから。その希望にすがりつきたくなったんだよね。

寂れてしまった映画館の再建。
映画好きとしてはこんなにワクワクする描写はない。

そして感動のラストシーン。自由の国アメリカで、国民に与えられた基本的人権について訴える、聴聞会に於けるピーターのスピーチにひたすら涙、涙。

これは反戦映画でもあり、
人の尊厳についての映画でもある。

映画館"ザ・マジェスティック"のネオンが涙で滲む。ジャズピアノの調べに心が躍る。そして、主演のジム・キャリーと監督のフランク・ダラボンに拍手を送る。