ぶみ

ドライビング Miss デイジーのぶみのレビュー・感想・評価

ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)
4.0
「夢」のように飛び去った25年…

アルフレッド・ウーリーによる戯曲を、ブルース・ベレスフォード監督、モーガン・フリーマン、ジェシカ・タンディ主演により映像化したドラマ。
元教師の女性と、彼女の運転手として雇われた男性との交流を描く。
主人公となるユダヤ系白人の元教師デイジーをタンディ、彼女の運転手となった黒人男性ホークをフリーマンが演じているほか、デイジーの息子ブーリーとしてダン・エイクロイドが登場。
物語は、デイジーが自宅から出ようとクルマを運転した際に事故を起こしてしまったことから、ブーリーが母のためにと雇用したホークとのやりとりが中心となるが、その出自然り、見た目然り、性格然りと、全てにおいて正反対の二人が、徐々に距離を縮めていく展開は、この手の作品の王道まっしぐら。
1948年から1973年までの25年間が描かれるのだが、何より、公開当時の年齢でフリーマンが52歳、ましてやタンディに至っては80歳ではあるものの、二人とも壮年期から高齢期を違和感なく演じていたのは驚きを禁じ得ない。
また、当時のアメリカは、当たり前のように人種差別が横行していた時代であり、そこまで露骨なシーンはないものの、ホークがガソリンスタンドのトイレを利用できなかったエピソードだけで端的に世相を表していたのは良かったところであるのに加え、ハンス・ジマーによる一度耳にしたら忘れられないキャッチーなメロディを中心とした劇伴も秀逸。
時代が進むにつれ、心繋がる二人の姿を優しい映像で紡ぎ出し、最初にホークがステアリングを握った赤いハドソンが、ラストに陽炎のように浮かび上がる演出に心痺れるとともに、アカデミー賞作品賞を筆頭に、数々の賞を受賞したのも納得な良作。

「変化」と言うけれど、物事はそう変化しない。
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