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ドライビング Miss デイジーのプライアのネタバレレビュー・内容・結末

ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

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元教師で清廉な性格だが、頑固で気難しい婆さんのMiss デイジー。
高齢のためか、ある日運転を失敗して車を駄目にしてしまう。
息子は会社社長で裕福であり、母のために運転手(モガちゃん)を雇った。
単なる運転手ではなく屋敷内に常駐して雑務も行う感じの役割だった。

デイジーは保守的な人間だったので、今さら使用人が増えるのを嫌がり、
モガが家の中を整理したりしても、家の中をさわるな等と冷たく言う。
とにかく辞めさせて欲しいと息子に言うが、息子はこれを拒否する。
ある日、デイジーが車を使わず電車で出かけようとしたところ、
モガが車で追いかけて来て、仕事をさせてくれと説得、しょうがなく乗車。

余計な事をぶしつけに言ったりはするが、賢く忠実で気遣いができるモガ、
これをきっかけにどんどんデイジーや息子からの信頼は高まっていくのだった。
Miss デイジーは人に心を開けない性格であり、寂しさを常に抱えていたが、
プライドが邪魔して感謝の気持ちを周囲に伝えられないのだった。

やがて10年か20年経ってみんな年を取り、ついにデイジーがボケる。
ボケた中で、あなたが一番の友達よとモガに言う。これが本音だった。
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徘徊系の映画だが、イヤにならなかった。地味に感動させる映画だった。

デイジーは善良な人だし、実はモガといる時が一番リラックスできている。
年も近く気も合うはずで、もっと早くにいい関係を築けるはずだった。
でも全てはデイジーのプライドが邪魔をしていた。
デイジー自身も歯がゆくてしょうがなかったのだと思う。

ようやく気持ちを口にできたのはボケた後だった。
モガは実に忠実な人で、婦人が入院して屋敷を引き払った後も、
デイジーの息子から恩給のような形で援助を受けていた事もあるだろうが、
病院まで会いに行ったり、デイジー家に尽くすことを忘れなかった。

必要以上に親密になれないような関係でありながらも、
長年顔を合わせて来たのだ。相手の本心だって見えるだろう。
モガも婦人の気持ちに気付き、感謝の気持ちを受け取っていたに違いない。

身分、人種の差、プライド、親友になるための阻害要因は多い。
でも2人はそれを乗り越えて、信頼関係を築き上げていたのだった。
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