Nishiumi

山の郵便配達のNishiumiのレビュー・感想・評価

山の郵便配達(1999年製作の映画)
3.9
決して派手ではないけど滋味深いストーリー。

山間部に郵便を配達する仕事を長年続け、老年に差し掛かった男は、自分の息子に仕事を引き継ぐことにする。
親子二人と相方の愛犬一匹の、またとない旅。

重い郵便物を背負いながら、険しい山道を歩くこと、そしてそれを長年続けるのは決して楽ではない。
手紙も渡して終わりでなく、個々の事情に合わせて直接手渡したり、ときには自ら代筆し、読み上げることもある。

最初の町で多くの村人に見送られたとき、風の強い日に少年に出迎えられたとき、通り道に飲み水が置かれていたとき、山に住む人々から父親への、確かな信頼を感じた。
堅実に仕事をすること、仕事を通して信頼されることの、なんと素晴らしいこと。

また、山に生きること、山に住む人々との関係、手紙を待つ、人を待つことについて、
会話の端端で考えさせられる。
距離がある、ということは都会の生活では意識にものぼらないが、
ある意味で人の考え方や関係性の肥やしになるんじゃないか、と思いました。
Nishiumi

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