Melko

国道20号線のMelkoのレビュー・感想・評価

国道20号線(2007年製作の映画)
3.6
これが地方都市。どうしようもない切なさ。
やることないし、行くとこないし。
やりたいことも、行きたいところもない。

パチ行って、玉出なくて、たまに勝って、ドンキに買い物行って、2人で身を寄せ合って暮らして、シンナー吸って……

主人公のひさし=ひーくんが、田舎都市に住んでた私のオジサンに重なった。母親の異父兄弟な弟。
方言も物言いももっとキツくて、タバコ、パチ、実家に彼女連れてきて、彼女とおそろのスウェット、スリッパで出かける…
私と歳が10違うこのオジサン、世代的にもひーくんと重なる部分が多かった。地元の連れは大事にしてたしな。
オジサンはきっとシンナーは吸ってなかったとは思うけど。そうゆうのはちゃんとしてた人だったし、私の父親に仕事も世話になったこととかがあって、私が小さい頃は車で遊園地に連れてってくれたり(車の運転が荒いで有名な地方の出身)私の弟ともよく遊んでくれたんだ。
私のオジサンは、ひーくんみたいに怪しい仕事も消費者金融からの借金もせず、真面目に仕事してたけど、でも、ひーくんみたいな漠然としたイライラやモヤモヤは抱えてたように見えたな。よく何かにキレてたしな…

何か、見ててずっと不安になるとゆうか、物語的に追っていくと不幸になる感じしかしないし、何より全てが「イタイ」んだよな。
ヤンママな友人のことをバカにしながらも心の底では家族や安定を欲してる、ひーくんの彼女ジュンコが、カラオケで「Can you celebrate」熱唱するところなんて、イタさの極み。
漠然とした不安も、彼氏への不信感も、愛してほしい、安定した生活したいって気持ちも、その世界しか知らないから出てくる黒い感情で、そこから一歩でも外の世界に出れば、何かが変わるのかも知れない。だけど、今まで外の世界に出たことないから不安だし出たくないし興味もない。そこからまた同じことをグルグル不安に感じる負のループ。

白い一丁らでバイクを爆走させるラストのひーくんは、何を思ってたんだろう。

しっかりしないとな、私も。

撮ってる題材はなかなか良いのだけど、ブラックアウトが多くて気が散るのと、音響のバランスが自分と合わないのか、不自然に大きくなった場面が何箇所かあって、心臓がビクってなった…
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