肉鹿

国道20号線の肉鹿のレビュー・感想・評価

国道20号線(2007年製作の映画)
3.5
巨大な駐車場のパチンコ屋。近くに何台も並んで建つ消費者金融のATM。チェーン店の安くて早い飲食店。巨大なラブホテル。巨大なドンキ。これが国道20号線のすべて———「空族」作品。

主人公カップルの姿が新鮮😆
これが夜中にドンキに巣食うといわれていたやばいカップルの姿なんだって伝説の生き物を見たような気持ちでちょっと興奮してた!
主人公のカップル含め、出てくるのはどこか壊れてしまった人たちばかりで思いやりなんて一欠片もない姿ばかりが描き出される。
横断歩道だって絶対使わないもんね!車が来たって焦らずに待たせる姿が印象的。

77分と短いけどやっぱり上手い編集とはいえなくてぶつ切りになってるとこも多め。でも徹底的なリアリティを追求したヤンチーの姿は懐かしさや目新しさで誰もが飽きることはないと思う。
演技も辿々しさ強めで気にはなるけど、悲劇的な結末でしかこの現実を抜け出す術を知らない姿とよく似合ってました。

そもそも車社会の地方都市の姿と結びつける「国道20号線」というタイトルが上手👏
たぶんこの映画の登場人物は、隣の駅や二駅先の駅の名前なんて誰も知らないと思う。
生まれてからずっと車にしか乗ってこなかったんだもの。

地方と道路はどうしようもなく密接に交わっていて、誰の地元の街とも国道20号線が繋がっていてすでに似たような風景に変わってしまっている現実に言いようのない怖さを感じた。
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