うにたべたい

怪獣大決戦 ヤンガリーのうにたべたいのネタバレレビュー・内容・結末

怪獣大決戦 ヤンガリー(2000年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

1967年に韓国で制作された怪獣映画『大怪獣ヨンガリ』をリブートさせた作品です。
大怪獣ヨンガリと同じ名前の怪獣ヤンガリー(=ヨンガリ)が登場しますが、話的なつながりはなく、独立した別作品となっています。

大怪獣ヨンガリは韓国と日本の共同製作でしたが、本作は韓国製作の映画に欧米の俳優が起用される形となっています。
韓国映画なのですがキャストはすべて欧米人で、私が視聴したDVDも作中使われている言語は英語でした。
舞台になっている国も見ていてどこかわかりませんでした。
唯一、登場人物がヤンガリーの伝説を"韓国の古い老人から聞いた"みたいなことを言っていたような?(聞き違えだったらすみません)
主な舞台はビル街、荒野、宇宙で、韓国映画を感じさせるものはなかったように思います。

2人の人物、ヒューズ博士とキャンベル教授が化石化したエイリアンを発見する場面でストーリーが始まります。
その2年後、キャンベル教授は巨大な恐竜の骨を発見し、企みを胸に秘めながら発掘作業を行います。
その発掘中には謎の事故が多発し、発掘隊が次々命を落としています。
また、同時期、宇宙から謎の飛行物体が地球に接近し、軍の衛星を撃ち落としていました。
そんな折、行方不明だったヒューズ博士が教授の元に現れ、発掘を中止するよう訴えます。
彼曰く、それは伝説の怪獣であり、このままだと怪獣が復活してしまうと、そして彼の訴え通り、宇宙の飛行船から謎のビームが化石へ発射され、化石はみるみるうちに形を持っていく、という展開です。

映画が始まり早々に宇宙へ場面がシフトし、巨大宇宙船や地球征服を企む宇宙人が登場したのでたまげました。
X星人のような設定の宇宙人が地球へ侵攻する宇宙戦争もので、基本的に怪獣vs人類の戦いではなかったです。
怪獣デザインもヨンガリとはまったく似ておらず、ヨンガリのリメイクくらいに考えていたのですが、全然違う作品でした。
登場怪獣の名前くらいしか共通点は無いのですが、名前も映画タイトルでは"ヨンガリ"と"ヤンガリー"で違っています。
ただ、ヤンガリー(ヨンガリ)の権利を持っている会社があるようで、どちらの作品も所有者が認可した同一怪獣ということになるのだろうと思います。

本作のヤンガリーはヨンガリと同じく二足歩行で、しっぽでバランスを取るタイプですが、恐竜的な雰囲気のあるヨンガリと違って獣顔の戦士のような感じがあります。
私はダイの大冒険に出てくるクロコダインを巨大にしたような感じを受けました。
また、キグルミ特撮の前作と違って、本作のヤンガリーはフルCGで作られています。
時代的な問題もあると思うのですが、CG感がすごくて迫力に欠けました。
怪獣デザインも特撮もいまいちでしたが、街で暴れるシーンは倒壊するビルの特撮がいい感じで、よくできていたと思います。

ヤンガリーを倒すため、宇宙人はもう一体の怪獣を送り込みます。
最初からそっちの怪獣を使いなさいよと、なぜ出し惜しんだのかとツッコまずにはいられませんでした。
また、ヤンガリーは人を踏み潰しヘリを乗組員ごと噛み壊す凶悪な怪獣ですが、ある出来事からいきなり改心します。
結構な数の人間を殺しているのに、手のひらを返しすようにヤンガリーを応援しだす人間サイドにもびっくりです。
ヤンガリーと、新怪獣のサソリゲスの怪獣プロレスは素晴らしかったですが、後半の展開はちょっとどうかと思いました。
ちなみにサソリゲスの登場するのは100分くらいの映画の85分経過頃、サソリゲスについて伏線もなかったので、サソリゲス召喚と最期は唐突な感じがあります。

ラストは宇宙人は逃亡、その際に次回作を匂わせるセリフを残します。
商業的にも成功したらしく、CGのできはともかく決して悪い作品ではなかったので、グエムルやムルゲのクオリティで次回作が作られたら嬉しいのにと思いました。