カルダモン

フランケンシュタインのカルダモンのレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
4.2
博士と助手の2人で死体を掘り起こし、脳を盗み出し、雷の夜に実験を行うシークエンスは、魔改造したデロリアンを雷のエネルギーを使って次元転移させるというバックトゥザフューチャーそのままだなと今更ながらに思った。自身の悲願であり夢が実現したにも関わらず、創造したものに恐怖を覚える展開もまた同じく。

1931年作にして怪奇エンターテイメントは完成の域で、テンポよくスリリングな展開は今見ても全然ダルくないし、ビジュアルの美しさに驚くばかり。そしてフランケンシュタインと聞いて誰もがイメージするであろうビジュアルの発明は改めて凄い。これ以外に見たことがないし、この映画を見たことがなくたっていつのまにやら知っている。興味本位で世界初といわれるフランケンシュタインの映像作品も探してみた。まったく異なる造形で驚いた。ヒョコヒョコと動き回る道化師のような、あるいは日本の妖怪「ひょうすべ」のイメージに近く、コレじゃない感じが凄かった。やはり頭部が平たくて縫い目があって首にボルトが刺さってる見た目じゃないと。当時はこれも画期的なリブート作品として受け入れられたのだろうか。後にフランケンシュタインのシリーズが7作品も作られていることを考えると、大ヒット作だったのは間違いないけど。



『哀れなるものたち』に登場するゴットウィンはベラの創造者であり父親だったけれど、彼の名前がフランケンシュタインの原作者メアリー・シェリーの父親ウィリアム・ゴドウィン(アナキズムの創始者)から取られていると知った。さらにベラが自由を求めてフランスへ向かうのは母親メアリー・ウルストンクラフト(フェミニズムの創始者)が辿った道だそうな。『哀れなるものたち』がフランケンシュタインをベースにしているのは明らかだったけれども、原作者の生い立ちまでもが下敷きになっていると知って俄然興味深くなった。