ヘソの曲り角

ゾンビコップのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

ゾンビコップ(1988年製作の映画)
4.0
「ようこそゾンビランドへ」

これは文句無しのゾンビ映画マスターピース。B級以下然とした軽薄さ、ブレブレの脚本、雑すぎて逆に驚愕する展開等々嫌でも気になってしまう要素たちをスピード感と主演ふたりの愛嬌だけで押し切り、気づいたら辿り着いていた終盤で誰もが予想でき、誰もがそうなることを望んでいた怒涛の激アツ展開で最高潮のまま終劇。強いて言うならサントラもっと欲しかったけど、これ以上このゾンビ映画に一体何を望めるか。

殺された警察官が蘇って自分の殺人犯を追う、ってもうそれだけで最高。肝心の謎解きはお粗末にも程があるうえ真犯人を隠す気がはなからないんだけど、限られた蘇生時間をどう使うかというシチュエーションから人間の生の時間の使い方を改めて問う、という倒錯が意外とめちゃくちゃマジメ。結局死とともに失う財産、名誉にすがりつこうとした大富豪を笑い飛ばして血の雨を降らすふたりに不覚にも感動した。

話のお粗末さはさておき、ゾンビの特殊メイクがかなりエグくていい。中華料理屋で出てくる豚ゾンビ、鳥ゾンビがかなりキモい。謎にねじ込まれるカーアクションもキレキレ。ときどきいいショットもあって映像的には普通に面白い点が多い。脚本も穴だらけだけどユーモアがあってよろしい。ダグ役のジョー・ピスコポがかなり軽妙でいい。後半からは主演のトリート・ウィリアムズもノリノリでジョーク連発。何よりたった83分!