ロバート・デニーロを好きな私がまだ見ていなかった。
実在の1940年代のプロボクサー、後にコメディアンのジェイク・ラモツタをモデルとしてロバート・デニーロが演じる。
1980年の作品だけれどもモノクロ、それがジェイク・ラモツタが生きた時代感を醸し出す、そして実は今年で日本公開40周年。
1人のボクサーが栄冠を得るが、短気や嫉妬などにより家族を失う。そして孤独。
冒頭のカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲をバックにガウン姿でシャドーボクシングをする姿を映すシーンでそれを暗示し、引き込まれて、何度見ても飽きない。
ボクサーというのは孤独な後ろ姿がいいんだな。
ロバート・デニーロも筋肉ムキムキボディから引退後23キロの体重増で1964年腹ポッチャリの中年太りをしつかりと演じる怪演。これがロバートデニーロたる所以。冒頭の独り語りのシーンでは誰か分からない。
エンドロールにジェイク・ラモツタの名前がコンサルタントという肩書であつたので、できるだけ事実に忠実に作ったのだろう。
ジョーペシとロバート・デニーロが兄弟役というのもいい。
スポーツのドラマというよりは、ボクシングをベースとした気性の激しい、一見名声を得たかのように見える孤独な1人の男の物語。
名作と言われるのは頷ける。