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レイジング・ブルのsheepmanのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
4.0
1人の男の栄枯盛衰。後のスコセッシ作品や『ゴッドファーザー』シリーズ、『スカーフェイス』とも共通するテーマである。とは言っても本作は一応ボクシングというスポーツを題材にした映画なのだが。
当時台頭していたテクニカラーへの不信から敢えてモノクロで撮った作品であるとのことだが、試合のシーンは(モノクロだからこそ)とても美しいし今も迫力を失っていない。また、現役時代と引退後のジェイク・ラモッタ(同一人物とは思えない)を見事に演じ分けたロバート・デ・ニーロの役作りにおける執念が窺える。
ポール・シュレイダーの脚本っぽさ(アメリカンニューシネマ的な屈折や反体制的な要素)をあんまり感じられなかったのだが、調べてみると当初彼が出して来たものはあまりに暗かったのでスコセッシとデ・ニーロによってだいぶ手直しが入ったらしい。
ジェイクの偏執狂的な妻への嫉妬深さにはドン引き必至。悲しいが、いつの世もこういう男は必ず身を滅ぼしてしまうものなのだ。
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