このレビューはネタバレを含みます
いつか観たいとずっと思っていた作品。
観られて良かった。すごく良かった…。
映像美と、優しくて切ないけれど、少しの光が感じられる結末。
ロイが綴る物語と、それを想像するアレクサンドリアの頭の中で広がる色鮮やかで美しい世界。
物語を語るロイの表情も、それをわくわくしながら聞いているアレクサンドリアの表情も好きです。
ロイの俳優さんめちゃくちゃかっこいいな…。アレクサンドリアの子、お茶目で愛らしい表情が本当に可愛い。氷舐めてるところやウインクできていないところ、にこにこしちゃった!トイレ我慢してモジモジしている仕草すら愛おしい。
察しが悪くて、物語の登場人物が現実世界の人物の姿をしているの、最初は全然気付かなかった…。
アレクサンドリアの頭の中の物語だから、アレクサンドリアの身近な人の姿で出てきているんだぁ…。
黒山賊が父の姿からロイの姿に変わるの、アレクサンドリアがロイを父のように慕いはじめたということなのかな。
ロイが語る物語も面白くて、中断すると私も「いいところで!」となっちゃった。
ラストで畳み掛けるように「落下」の場面が続くの、どん底に沈んで希望を無くしているロイの気持ちを考えるとしんどい。
それでも最後には、綴られてきたあの物語の中に自身も入り込むくらいのめり込んだアレクサンドリアが、もう全て終わりにしてしまおうとしていた物語を変えてくれた。
ロイをがつんと動かすような言葉ではなかったのかもしれないけれど、5歳の子どもが泣きながらいろんな言葉で訴えかけて、2人の物語をハッピーエンドにできた。
色鮮やかな世界で溢れた映画の終わりが白黒映画のカットで終わるのも、なんだか良い。
現実は空想ほど美しく鮮やかなものではないかもしれないけれど、そこで生きていく。
その姿は誰かのことをしあわせにするかもしれない。
ロイとアレクサンドリアはもう会うことはないのかな…と思うけれど、またいつかロイが彼女に物語を聞かせる日が来たらいいなと思う。
アレクサンドリアがわくわくして楽しめるような、ハッピーエンドの物語を。