これあらすじだけ読んでも刺さる人に絶対に刺さる映画だって分かるやつですよね。辛い現実の逃避として創られたファンタジーストーリーが紡ぎ出す絶望と希望の物語。
評判通り、世界各地の大自然や世界遺産でのロケーションで描かれる劇中劇の映像美は圧巻。これ僅か数秒のワンカットのために、わざわざピラミッドや万里の長城やエッフェル塔なんかでのロケをしてますよね。こんな贅沢な映像を当時スクリーンで見れた人が羨ましい。
何より感動的なのはこれが映画というメディアへのとめどない讃歌となるラスト。ロイのその後については解釈は分かれるだろうが、彼が語る物語の影響を受けたアレクサンドリアが、その後も希望を失わずに映画の中にロイを見出し続けたのは確かでしょう。
例え虚構で作られた映像だとしても、そこには血の通った俳優の姿がある。それを伝えるためだけにあれだけの画作りが必要だったのでしょうね。