圧倒的な映像美に惹きこまれる。あまりにも美しいので映画としてというより絵画をみている気分になる。
生きる気力を失くしたスタントマンが思いつくままに語る物語だから荒唐無稽なのは無理もない。そのお伽噺には色彩豊かな衣装を身にまとった人々が登場し思いつくままに進んでいく。この物語自体は少し退屈に感じるかもしれない(思いつきだからこそのリアリティともいえる)がとにかくこのお伽噺の世界が美しい。情景、衣装、さらには登場人物の死に際ですら美しく、芸術だと感じさせられる。
この時代にターセム監督はできるかぎりCGを排して実在する土地を舞台にして撮影している。その自由なイマジネーションには脱帽だ。インドの塩湖やチャンド・バオリと呼ばれる幾何学的な井戸などいつかは行ってみたいものだ。素晴らしい作品を観れて感謝している。