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HARUKO ハルコのRayWestのレビュー・感想・評価

HARUKO ハルコ(2004年製作の映画)
3.6
諸外国からすると日本は単一民族であるというイメージが強い。しかし、中には在日朝鮮人という少数民族も存在する。このドキュメンタリーでは春子というひとりの在日朝鮮人に焦点を当てその半生や周囲の友人、家族の成り行きを描いている。
監督が自身の家族の記録を戦後当時から保管し続けていたのには感心した。映像にはタブー視されるようなことがリアルに映されており在日朝鮮人の暮らしのリアルがそこにはあった。
学歴社会の色が特に強い当時の日本で母国語も日本語も中途半端な春子にとって生きるすべが違法行為であったことは複雑な気持ちがした。本当によく生き残ることができたなと思う。オモニにとって子供たちは重荷ではなく、きっと生き残る強さや勇気であったに違いない。だからこそ息子である監督や家族たちは前科があるにもかかわらず春子を尊敬しているに違いない。
エンディングに使われたテーマソングがヒップホップだったことにも意味があると思う。ヒップホップやラップは元々アメリカで人種差別の被害に合っていた黒人たちが自身の苦労話を人々に伝えるための手段として歌ったのが始まりだという。
日本でもヒップホップやラップといったアンダーグラウンドなサブカルチャーが東京を中心に人気を集め始めている。その理由はやはり在日朝鮮人2世や3世のコミュニティが強いからだ。そのためこのドキュメンタリーには不釣り合いのように聞こえるヒップホップ調のエンディングも私にはむしろ自然に聞こえた。
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