ナガサワ

地獄の戦場のナガサワのレビュー・感想・評価

地獄の戦場(1950年製作の映画)
4.0

今まで僕が見てきた戦争映画と毛色が違う。
基本的に戦争映画の終わり方は2種類だ。
一つ目は戦争の狂気や悲惨さに、悲しげな余韻を残して終わるパターン。
二つ目は生き残ったことや、成し遂げだことに対して喜びを噛み締めて終わるパターン。

この映画はどちらでもない。
「爆発させてやったぜ‼︎地獄を見せてやれ‼︎いえーい‼︎」みたいなノリで終わるハイテンションエンドだ。
これが「西部戦線異常なし」と同じ監督とは思えない。
とはいえ僕は好きだ。
終わり方からも分かる通り、この映画で戦争の悲惨さが〜とか考えるのは無駄だ。
そういうことを考えたいんだったら、もっといい映画が沢山ある。
何も考えずにエンターテインメントとして楽しんだ方が絶対にいい。

本作は戦争をテーマにした冒険謎解きものというちょっと変わった戦争映画だ。
上陸した島で日本軍のロケットミサイルが嵐のように降ってくる。
量が笑えるほど多い。
たぶんあのペースで数日打ち続けたら3万発ぐらいは余裕で撃ち込まれてる気がする。
どんだけミサイル持ってんだよ。

このミサイルの発射拠点の場所を特定するのが本作のメインミッションだ。
これが結構面白い。
日本人の捕虜を尋問したり、実際に調査しにいったり、死んでいった仲間や捕虜が残した出掛を元に場所を特定していく。
切腹した捕虜の最後の言葉を検証して謎を解くのが逆転裁判ぽくて楽しい。
場所を見つけたら総攻撃をかけるわけではなく、普通に飛行機で空爆して焼け野原にしてたのもなんか良かった。

あと上陸シーンがやたらかっこいい。
明るく勇ましい海兵隊讃歌に合わせて、飛行機と駆逐艦の爆撃を交互に見せながら水陸両用車でガンガン上陸していく。
いかにも侵略って感じで描かれている。
こういうのはもう2000年以降の映画では絶対に見られない。
プライベートライアンで上陸シーンでは極限状態の強調や、緊迫感の演出がセオリーとなってしまったからだ。
戦後まもない勝利の余韻に浸っていたアメリカだからこそ描けたもので、もはや失われた表現だ。

あんまり本筋とは関係ないけど、アメリカ兵の通訳の日本語がめちゃくちゃで面白い。
「皆んな出てくるように言ってまえ!」
「皆んなにこう言ってまえ!」
なぞのカタコト関西弁で凄んでいて笑える。

戦後10年くらいの戦争映画は華々しさがあって良い。
途中ちょっとダレたけどかなりお気に入りの作品だ。