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タッカーのたぼのレビュー・感想・評価

タッカー(1988年製作の映画)
4.0
フランシス・F・コッポラ×ジョージ・ルーカス(監督、制作総指揮)タッグの、珍しい伝記映画。

主役はジェフ・ブリッジス。

マーティン・ランドー、クリスチャン・スレイター、マコ岩松も出演している本作はかつて米国で製造された、全世界で51台しか無い幻の“1948タッカー・セダン”を生み出したプレストン・トマス・タッカーと言うアメリカン・ドリームを追い続けたひとりの男とその家族の物語である。

実話ベースの本作は興行収入面では黒字になっておらず成功したとは決して言えない数字だが、かつてタッカー氏という稀代の天才が居たこと、そして彼が幼少期から持ち続けてきた革新的な車を作りたい、という“純粋な大いなる夢”を実現させた人物が居たことを我々は知るべきである。

奇しくも彼の会社は多方面からの圧力により、無くなったがそれまでに生産された51台のタッカー・セダンのうちの1台はトヨタ自動車博物館に展示されており、現存している数台は現在でも走行可能とのこと。
また、アンティーク・カーとなるため落札相場は1億以上〜3億前後と日本円では時価数億円に達する極めて高額な価格で取引されているそうだ。

安定のコッポラ監督なだけあって、映画自体はテンポ良く進むのでかなり見易い。
本作はタッカー氏の歴史を知るのにはいい一本だが、それだけでなくビジネスの歴史、“情熱”だけでは夢は成し得ないという非情な官僚社会という現実も知れる貴重な映画だと思う。

世紀の大富豪と言われたハワード・ヒューズも(ディカプリオのアビエイター、トミー・リー・ジョーンズのハワード・ヒューズ物語など)同時期に存在しており、タッカー氏と会話を交わすシーンがあったためそちらも一緒に観ておくと、より深く楽しめるのではないだろうか。
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