kyoko

乾いた人生のkyokoのレビュー・感想・評価

乾いた人生(1963年製作の映画)
3.8
冒頭、なんだかわからない音が鳴り響く中(あとで車輪の軋む音だと判明)カラカラに乾いた土地を歩く家族。炎天下、水無しだと嚥下が激ムズそうなパッサパサの何かを食べるしかなく、すでにギリギリ感がハンパないけど、うるさいオウムの成れの果てに、まさかの笑いが起きるという。

流浪の果てにようやく辿り着いた農場では搾取されまくり、村人は権力者の太鼓持ちだらけ。厳しい旱魃に牛も倒れ、神への祈り虚しく、地獄の炎のごとく太陽は土地を熱してゆく。じわじわ限界に近づくなかでのあのワンコのくだりよ。ドヤ顔でネズミ捕まえてきちゃう、なんならギャンブルで有り金スっちゃう父親より役に立つ子が、潤んだ目が見た最後の情景に私も泣いたわ。

永久に抜け出せそうにない乾いた道の途中、痩せたと言いつつ、その顔には絶望感より解放感を見たような気がした。子どもたちの未来に思いを向けられているうちはまだ大丈夫。強い人たちだ。


ジョアン・ジルベルトやカルロス・ジョビンはあの子と同じ年頃だけど、この時彼らはもうピアノ弾いたりしてたんだろうな。…うん、やっぱり神さまってムゴイ。
kyoko

kyoko