KnightsofOdessa

乾いた人生のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

乾いた人生(1963年製作の映画)
4.5
No.412[不条理への絶望、果てしなく] 90点

シネマ・ノーヴォの旗手としてローシャらと共に活躍していたネルソン・ペレイラ・ドス・サントスの代表作。原題は"Barren Lives"であり、この"Lives"が"人生"を表しているかは微妙なとこだが、印象深いタイトルである("人生"って可算名詞だっけ?)。

まず、ネオリアリズモがブラジルにやってきたかのような感覚を抱いた。言葉少なに語られるやせ細った大地に生きる家族の物語であり、棒切れのようにひょろ長い父親が警察にボコられて富農にケチられてというハードモード生活を写し続けている。途中まではよくある話かと思っていたが、ボコられて帰ってきてからの絶望感が素晴らしい。

枯れた大地に骨の浮き出た牛がフラフラと歩き、それを大量の禿鷲が見守る。父がそれを見やると奥にはギラつく太陽があり、全てを焼き尽くす勢いで大地を焦がす。このシーンこそが本作品を象徴する"不条理への絶望"である。

最終的には唯一の資産だった猟犬すら使えなくなって殺す羽目になり、一家四人で砂埃の舞う荒涼とした大地を進み続けるしか道がなくなる。感服。
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