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抜き射ち二挺拳銃のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

抜き射ち二挺拳銃(1952年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ゴールド・ラッシュに沸き立つカリフォルニア。砂金採掘場で採掘権を強奪される事件が続発。父を殺されたリュークは仇を討つために町へ向かう。町の保安官タイロンは稲妻といわれる早射ちの名手で、親友のダン老人と、彼を慕う娘のダスティに見送られて強奪団追跡に出発したが…。

バイオレンス映画の巨匠にして、クリント・イーストウッドの監督業の師匠、ドン・シーゲルの初期作品。
低予算早撮りながらも、しっかりとした作品を成立させる職人的演出を垣間見ることのできる西部劇の佳作である。

死人に口無しと、採掘権を奪ってはその場で殺す強奪犯が非道。
現在の視点で見てもかなりのワルである。
タイロンはこの強奪団に襲われて負傷。
騎兵隊に救われたものの右手の指が言うことを聞かなくなる。

タイロンが町に戻ると、ダンが何者かに殺され、彼の金塊が盗まれていた。
タイロンは町のチンピラ、ジョニーを怪しいと睨むが、彼を雇った鉱山会社の社長ロッドの証言があった。
タイロンはその時出会ったロッドの妹オパルに一目惚れする。
実はこのロッドが強奪団のボスでオパルがその情婦。
邪魔な保安官タイロンを亡き者にしようと画策する。

負傷を隠し通すため、タイロンは保安官助手を探すのだが、そこに現れたのがシルバー・キッドと名乗るリューク。
酒場でリュークの早撃ちを目にしたタイロンは彼の腕を見込んで助手に雇う。
ある晩、リュークはタイロンを狙撃しようとしたジョニーの友人ブレイクを捕まえる。
ブレイクは父の仇である強奪団のペンダントを持っていた。
一計を案じたリュークがブレイクを洞窟に閉じこめると、強奪団はブレイクを取り返そうとして、留置場を襲う。
どこからか情報が漏れていると踏んだリュークは、急にタイロンと親しくなったオパルを疑う。

その後、タイロンの指がきかぬのを知ったオパルは、ジョニーに知らせ決闘をさせる。
街頭で立向った2人の間に、リュークがわりこみ、彼の早射ちでジョニーを倒すと、彼の自白で強奪団の首領がロッドと判明。

一方、オパルはダスティにロッドが誘拐され、ブレイクと交換するよう言われたと嘘を付く。
ダスティは騙されて、ブレイクを連れてアジトに行くが、人質に捕えられる。
全てを知ったリュークたちは、武装団を組織してオパルに案内させアジトに向かった。
ロッドは裏切ったオパルを射殺し、自らもタイロンに射たれた。
ダスティを助けたリュークは彼女と結ばれる。

自慢の早撃ちが出来なくなったのに、敵の女に恋をして騙される保安官タイロンがなんとも間抜けなのが物語上の難点。
だが、タイロンが生真面目な正義の味方であることを演出するため、独白のナレーションを加え、ハードボイルドな雰囲気を演出している。
アクション面での実質の主役はリュークで、撃てないタイロンのピンチを救い、バディ感を出している。
オパルには洗練された女性の色気があり、ダスティは純粋で逞しい田舎娘と、ヒロインにもそれぞれ存在感がある。

現代の視点では明らかに物足りなさは感じるのだが、盛り沢山な内容に関わらず、尺は何とたった77分。
アクションとロマンスを交互に見せるテンポの良い展開と、どこを切り取っても絵になる構図、そしてカット割りの素早いアクションに綿密に考え抜かれた監督の技術を感じる作品である。
いちいちキスシーンが邪魔されるというギャグのオマケ付き。
刑事モノのような現代劇としてリメイクしても面白そうな作品だと思った。
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