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ウィークエンド・シャッフルのHKのレビュー・感想・評価

2.8
原作となった筒井康隆の短編集は私が中学の頃(40年以上前)読んだ初筒井で、読むなりギャハハと笑い転げて足をバタバタさせてのたうち回りヒクヒクと体を痙攣させたのち、当時刊行されていた著者の全ての文庫本を次から次へと買って読み漁ることになった記念碑的小説です。

じゃあ公開時以来の再鑑賞となるこの映画も面白いかというと、原作をなぞってはいるものの、原作の活字の面白さの足元にも及ばない残念な出来でした。
そもそも当時から筒井小説の多くが映画化不可能と言われ、『時をかける少女』のようなジュブナイルの例外を除き、納得のいく映画化は極めて少なかったのが実状。

本作は『時をかける~』がブレイクする前に映画化された貴重な作品のひとつですが、そもそも大林監督の『時をかける~』にしても松田優作・薬師丸ひろ子共演という当時の角川映画の話題作『探偵物語』の併映作品であり、あくまでサブ的な扱いでした。
原田知世もデビュー間もなく、誰もあれほどヒットするとは思わなかったでしょう。

で、本作は筒井小説の映画化としては失敗作ですが、かなりの珍品であることは確か。
マニア受けしそうな作品であることは否定できません。
週末の高級住宅地で起こる誘拐・強盗・カーチェイス・白昼夢・豚の逃走・ドンチャン騒ぎなどのハチャメチャなストーリーをピンク映画の中村幻児が監督。

なんせ主要人物の主婦たち秋吉久美子(当時28歳)、池波志乃(当時27歳)、秋川リサ(当時30歳)は揃ってアッサリ脱ぐし、その3人と漏れなく裸で絡む強盗犯役の泉谷しげる(当時34歳)はキャリアの中でもかなりの役得だったんじゃないでしょうか。

出演者は他にも渡辺えり(当時27歳)、伊武雅刀(当時33歳)、新井康弘(当時25歳)、春風亭小朝(当時27歳)、美保純(当時22歳)など、とにかくみんな若いしよく見ると豪華キャスト。

キャストを含め、作り手側の方が観る側より楽しんでる類の映画ですが、ご興味のある方はどうぞ。
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