猫マッチョ

武士道残酷物語の猫マッチョのレビュー・感想・評価

武士道残酷物語(1963年製作の映画)
5.0
権力の乱立と暴力を描いた映画だな。王国だったら権力は一つだが、日本各地に殿様がいる原因で大小の権力による暴力が描かれている。家庭内の権力も然り。

と思ったが、昭和と明治が描かれている理由が無くなる。
これは権力の暴力ではなくて『奉仕』をテーマにしてるのだと考える。『滅私奉公』かもしれないが大きな権力の圧力に対する反発ではなくて、受容する人こそ武士道たる残酷な物語なのではないか?
ゆえに、最後も奉仕の相手が企業から女房に変わっただけであって本質は同じである。
また、奉仕される側には上限は無いから暴走できる。奉仕する側は肉体と精神の限界がきてしまう。好き勝手出来る側は満たされるまで求めるが満足する日は来ない。

しかし、こう考えられないか?日本人の民族性として誰かに奉仕することが生き甲斐、生きる糧となっている場合が多くはないか?妻のため、家族のため、子供のため、恋人のため、友達のため、好きな人のため、みんなのため。
思考停止で誰かのために奉仕の心で生きている方が楽に生きれるからだろう。

この映画の主人公たちは残酷であるが、悲劇ではなくて密度の濃い充実した人生だったのではないだろうか。
猫マッチョ

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