Sankawa7

めしのSankawa7のレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
4.0
Netflix

昭和の名作探索
これも有名な作品だがご縁なく初見。

この時代のものと思えない位、現代にも通じるような話がいっぱい詰まったとてもよくできたヒューマンドラマで驚いた。

最近、昭和の風景や文化のリアルを探索したくて最近作られた映画ではなく、映画にて当時話されていた言葉のまま、当時の風景、風俗がそのまま映っている映像がとても愉しくてはまりまくっている。

この作品は原節子の代表作の1つ。

1951年、まだ戦後の焼け野原からバラックが立ち上がっていたような頃、一方で映画を見る限り国民の困窮は終わりつつあり、不安定な経済ながらも経済成長が始まる直前のエネルギーの蓄積を感じるような雰囲気。上原謙が同僚が持ちかけてくる怪しい儲け話に全く乗らない清潔感がとても良かった‼️

舞台は大阪、転勤したばかりの夫婦上原謙と原節子が、仕事に疲れて帰ってきてろくに口もきかない夫と生活費のやりくりに苦労しながら1日中家事をしている状況に閉塞感を感じている妻を見事に演じる。

そんな時、夫の姪っ子島崎雪子が東京から家出をして住み着く。型破りな若い娘そして見た目も美しいため周囲は色めきたつ、そして何故か伯父の上原謙にも色目を使いだし、たまりにたまっていた妻のストレスが爆発しそうになるところから話が展開。

日本はまだ占領下だったから戦争に関する表現や政治的な表現は一切なくただ1家庭とその友達と親戚の日常そして家庭のあり方にフォーカスした作品になっている。

原作者の林芙美子が連載途中に亡くなり絶筆したため、なんと川端康成が監修してストーリーを完成させた。
原作ファンからはこの映画でのエンディングについてかなり不満な意見もあったようで物議をかもしたらしい。

まぁこの2人を主役に据えて最後ハッピーエンディング以外は逆に難しかったんじゃないかなぁと思える。

そして懸命に働く夫とそれを支える妻これこそが日本人のあるべき姿だと言うような軽いプロパガンダが入っており、その後奇跡の経済成長を遂げる日本のいぶきのようなものを感じさせてくれる作品だった。

夫婦を惑わす姪っ子島崎雪子の演技は絶品。個人的には原節子よよりかわいいと思ってしまった。原節子は好みの問題かもしれないが美しいと云うよりは神々しいかんじ。

当時の川崎の職安とか、大阪のキャバレーとか、東京大阪間の電車の風景とか、大阪の遊覧バスとかなかなか面白いものを見ることができた。大阪のくいだおれ人形がこの頃からあったのがこの映画の中で1番面白かった風景。

全般知ってる役者さんが少ない中、原節子の妹の夫役で若き小林桂樹、夫婦の隣人に浦辺粂子と大泉滉の親子‼️☺
Sankawa7

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