NANAc

めしのNANAcのネタバレレビュー・内容・結末

めし(1951年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

島崎雪子と上原謙が、非常にムカつく嫌な女と男だった。世の中のたくさんの家庭でよくある出来事とはいえ、こういうのを映画で見ても楽しくないなあと思った。映画の中でもつらくてリアルな現実を見せられると、映画でこういうのを観たいわけじゃない、と思ってしまう。

とはいえ、後半からの展開で映画の印象は良くなった。最後の原節子と上原謙が一緒にビールを飲む場面は良かった。冒頭の二人の距離と空気感が、このシーンの空気感に変わるまでの過程を描いた作品なんだと思った。
原節子の細かい心情の変化、どれも非常にリアルで理解できる。最後、なんとなくこれで良いのかな、と納得して戻る感覚も、わかる。原節子を始めとする女優さんたちの品の良さ、喋り方も大好き。

映画の内容としては良かったと思う。クオリティ高い。でもやっぱり、成瀬映画は華やかさに欠けるなと思う。リアルな生活をリアルに描きすぎてる、ということかもしれない。小津映画でケーキを食べるシーンみたいな、ちょっとした華やかさ、ワクワク感、余裕があったほうが、見ていて楽しいなとは思う。

「感情をベタつかせて、人に無意識に迷惑をかける人間は大嫌いだなあ」
NANAc

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