TP

めしのTPのレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
3.2
★1989年に続き2回目の鑑賞★

 林芙美子原作だが、2/3を書き上げたところで林は亡くなったため、未完の作品を映画化したもの。川端康成が監修(具体的に何をやったか不明)している。

 日本人離れした風貌の原節子が、慎ましやかな家庭人を演じて違和感がないのは成瀬の力量か、川端の監修のおかげか、はたまた原の演技力か。とにかく意外な俳優が市井の冴えない夫婦を演じていて、それは見応えはあるのだが、夫のために家事に勤しむ自己犠牲的な女性像はさすがに50歳を超えた私にとっても古いと感じてしまう。

 ダメ男っぽく描かれる夫が、女遊びもせず真面目なだけが取り柄で悪気がないということが道徳的には救いではあるのだが、だからこそ物語にあまり起伏がなくて、さらに、丸く収まるラストは林芙美子が本来意図しただろうものとは思えないような気がして、何となく凡庸に感じてしまう。
TP

TP