似太郎

めしの似太郎のレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
4.3
【じれったい夫婦の日常】

慎ましい庶民劇で成瀬巳喜男の真骨頂。上原謙と原節子の夫婦の共依存関係が、じれったくも愛しい日常を美しく彩る。

貧乏臭い戦後の風景なども一見に値する。(笑)

映画評論家の淀川長治さんは成瀬の映画が嫌いらしく川本三郎氏によるインタビューで「嫌ぁよ、あんな貧乏臭い監督」と語ってらっしゃったそうだ。でも、今観ると確かに貧乏臭いね。ウジウジしていて日本的というか…。『浮雲』も同様に。

まだ妻が夫に仕えるという些か保守的な時代の話だから、あまりシンパシーが湧かない内容なのが玉に瑕ではある。ある意味、男尊女卑映画。(笑)

が、懐かしい戦後の風景を眺めることができるほのぼのとした夫婦映画として非常に良く出来ている。同時代の小津のエレガンスさとは対極にある作品ですごく日本的。
似太郎

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