8bit

24アワー・パーティ・ピープルの8bitのレビュー・感想・評価

5.0
「イントロが長いのは、ヴォーカルがトイレに行ってるからだ」。
ライブシーンでのバーナード・サムナー(JOY DIVISION)のセリフ、最高。

英国のパンク~ニューウェーヴ、特にファクトリー関連が好きな人にはたまらない映画。
80年代マンチェスターの狂乱、ローカル局のレポーターだったトニー・ウィルソンと、彼のもとに集まったスタッフ、ミュージシャンたちが世界の音楽シーンを変えてゆく高揚感が真空パックされているよう。
なにか新しいことが始まっているという興奮が観てる側にも伝わってくる。

ファクトリーレコードの創設者であり、物語の語り部であるトニー・ウィルソンは本当にクズ野郎なんだけどなんか憎めない。
音楽シーンの流れや才能を見極める嗅覚は本物なんだろうと思う。
行く先々で周りの人に声をかけられるのは単に彼が地元の有名人ってだけではなく、どこか人を惹きつけるような魅力があったのかもしれない。
でなきゃこんなチャラくて胡散臭い男に人がついて行くわけないよ。

全ての始まりである76年、マンチェスターでのSEX PISTOLSのライヴ(観ていたのはたった42人。「キリストの『最後の晩餐』はもっと少なかった」というトニーの言葉がいい)。
最初のファクトリーナイトで、有名な告知ポスターをギグが終わってから届けに来るピーター・サヴィル笑
イアン・カーティスの自殺。
NewOrder、そして「Blue Monday」の誕生(「誰も買わない」というトニーの言葉が印象的)。
Happy Mondaysの乱痴気騒ぎ。
ハシエンダにおけるレイヴカルチャーの萌芽(オーディエンスがDJに拍手!!)。
そして閉鎖。

などなど、本や雑誌で読んだエピソードの数々が映像化されていて感動。
全ての登場人物を俳優が演じてるけど、正直いって実物とあまり似てない笑
でもそれはたぶん意図的で、そっくりさんを使った再現VTRではなく、
あくまで80年代マンチェスターの音楽シーンを舞台とした、一種の青春ドラマを描こうとしたからなんだと思う。
エンドクレジットに流れるNewOrderの「Here To Stay」は鳥肌もののかっこよさでした。

あ、みんな大好きサイモン・ペッグがワンシーンだけ出てた。いまより若くてちょっと太ってるけど、すごいイケメン!!!
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