みおこし

24アワー・パーティ・ピープルのみおこしのレビュー・感想・評価

3.5
1970年代〜1980年代にかけてイギリスのマンチェスターを中心に、世界の音楽シーンを席巻したニューウェーブムーヴメント。その中でもブームを牽引したインディーレーベル『ファクトリー・レコード』の社長トニー・ウィルソンの視点で、激動の「マッドチェスター」の時代が綴られる。

英国ロック好きは必見。基本的にマッドチェスターを盛り上げたJoy Division、Happy Mondays、New Orderを中心に進みます。ハードロックびいきの私はこの辺りの知識に疎いのですが、パンクの先駆けSex PistolsとThe Clashなど他のバンドの黎明期に触れる場面もあったりと、英国の音楽シーンを学べたのでとても楽しめました!
「これ、ドキュメンタリーなのでは?」と錯覚するくらいには全てのシーンがリアル。ライブのシーンは言わずもがな、実在の本人たちにそっくりな役者さんが揃い、セリフもあたかも日常会話のようなゆる〜いものばかりなので、当時収録された秘蔵映像と言われてもきっと信じてしまうレベル。Joy Divisionのボーカルのイアン・カーティス役の俳優さんが特にそっくりで、後で本人の映像と見比べてもほとんど同一人物にしか見えなかった...!

Happy Mondaysのメンバーたちのツアー中の移動バス内や収録中の乱痴気ぶりの再現を見ていると、神がかった楽曲が生まれる過程には数々のムチャや迷惑行為もあったんだなと、決して曲を聴くだけじゃ気づけない歴史的背景も知ることができました(笑)。まさにタイトル通り、四六時中半ば狂気じみた様子で歌い踊る当時の若者たちのロックを地で行く生き方、マネしようとは絶対思わないけれど(笑)どこか羨ましい自由さがあって、ますます80年代への憧れが強まりました。私もクラブ「ハシエンダ」で夜な夜な遊ぶロックな青春をマンチェスターで過ごしてみたかった〜!(笑)

随所に入る本当か嘘か分からない、トニーの回顧エピソードも思わずクスッと笑ってしまうはず。スティーヴ・クーガンのシリアスな演技しか見たことがなかったのですが、本作のトニー役での涼しい顔してサラッと面白いことを言う感じにハマりました!他のキャストも良かったですが、シャーリー・ヘンダーソン演じるトニーの妻リンジーと、Happy Mondaysのボーカルのショーンが特に強烈。一度観たら忘れないアクの強さ!(笑)
当時の世界観の再現度の高さは知識が乏しい私が観てもこんなに圧倒されるんだから、きっとマッドチェスターのマニアの方が観たら狂喜乱舞するはず。ラストのハシエンダのクローズ場面は思わず目頭が熱くなりました。

ロック好きのみならず、英国のレトロなカルチャーの雰囲気に浸りたい方は、当時のドキュメンタリーを観るような感覚でぜひご覧あれ!ちなみにタイトルは本作にも登場するHappy Mondaysの大ヒット曲から。
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