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現認報告書 羽田闘争の記録のSのレビュー・感想・評価

3.3
小川プロが初めて成田空港建設反対運動を描いた『日本解放戦線・三里塚の夏』(1968)製作の前年、日本は「第一次羽田闘争」に揺れていた。
1967年10月8日、羽田空港から南ベトナムに出発しようとする佐藤栄作首相を阻止しようと、ベトナム戦争に反対する新左翼の学生2500人(警視庁発表)がヘルメットをかぶりゲバ棒をもって集結する。石と火炎瓶が飛び交い、放水車と装甲車が出動するさなか、機動隊との衝突で京大生の山崎博昭が死亡。

本作『現認報告書』は、学生が乗っ取った装甲車に轢かれたという当局発表の「事故死」。今作は、その欺瞞に満ちた発表に怒った小川紳介とスタッフが死の真相を追いかける小川の第二作目のドキュメンタリーである。
遺体解剖の細かい分析、手作りの模型や写真を使った解説、目撃者の証言を積み上げ、実際は機動隊の警棒による撲殺であったと検証する。さらにカメラは、一ヶ月後の「第二次羽田闘争」における逮捕者や負傷者の支援活動の様子を、我が子を捜す親の声とともに映し出す。渦中の学生たちの生の言葉がダイレクトに響く。

2023/10/04 DVD
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