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手をつなぐ子等のtheocatsのレビュー・感想・評価

手をつなぐ子等(1948年製作の映画)
3.0
ネタバレ
知能障害児や悪童の理念的教育を描いた物語

1948年モノクロ映画

数字を数えられず、授業にも集中できない知能障害児。
その障害児を悪巧みでいじめる悪童。双方を遠巻きに見つめながら根気よく相互理解・融合へと導こうとする笠智衆先生。

個々のいじめエピソードをまんまほったらかしにする展開には正直もどかしくなる。(←ボス悪童子役がそれだけ憎々しい演技をしていたことの証)
しかし、劇中で笠智衆先生自ら語るようにそれも上からの強圧によらない、子供自身の「気づき」という最善のプロセスを目指す教育方針。

素っ裸になってお母さんの為にシジミ採りに勤しむ知能障害児、その服を隠し困らそうとする悪童仲間の企みに抵抗を感じながらも惰性で加担してしまうボス悪童。
それらに義憤しとうとう喧嘩することになる優等学級長とボス悪童。いわゆる「子供の取っ組み合い喧嘩」だが、両方が気絶するほどの大喧嘩(現代なら大問題だ!)。しかしそこから優等、悪童、そして知能障害児の融和・友和へと動き始める。

融和の決定的エピソードとしての「落書き清掃肩代わり」を挟み、クライマックスの校内相撲大会。
なんと、元ボス悪童の特訓で知能障害児が驚きの大活躍(好きな穴掘りなどで皆より体力が鍛えられていた)。この場面で劇中が大笑いとなるが、こちらまでつられて少し吹いてしまった。つまりは知らず知らず引き込まれてしまったわけだ笑。

そんな理念的教育成就のお話ですが、現代では通用させることが難しいだろうなと思わないわけにはいきません。
決していじめ・いじめられとは無縁ではなかっただけにしみじみ考えされられてしまいましたね。

002006
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