実際の事件をもとに被害者と加害者になったプレイメイトとして有名になる女性とそのヒモ男を通して、芸能界の裏側にある醜悪な感情や世界を見せつけられるのが堪らない一作。そんな見たくないものをぶつけられて最悪な気分になっているところにヒモを演じるエリック・ロバーツの自分の感情をつねにぶつけて人の感情を拾おうとしないキャラクターが止めを指す、そんな愛を拗らせて犯行にいたった最低な奴なのにそこに至る気持ちは理解できてしまう自分が悲しい。
ヒロインのマリエル・ヘミングウェイがかけるサングラス、通じない電話、共同の通帳と主役二人の関係性が離れていくのを道具などで表現するボブ・フォッシー監督の演出が最高。そしてそれが決定的になる事件の現場となるマリエル演じるヒロインの写真を貼りまくった『恐怖分子』のような部屋に戦慄する(写真に血が浴びせられるのは『Perfect blue』みたい)。
でもこの映画で最も気味が悪いのは他のレビューでも書かれているように本編には登場しないボグダノヴィッチ監督だったりして。