Jimmy

L・B・ジョーンズの解放のJimmyのレビュー・感想・評価

L・B・ジョーンズの解放(1969年製作の映画)
3.8
ウィリアム・ワイラー監督の最後の作品。
黒人に対する人種差別を描いた映画だが、現在も米国から入って来るニュースに似ているので、アメリカでは根強くはびこる問題を描いたドラマ。
しかも、アメリカの白人警官が黒人に乱暴したり殺したり…という事件が起こる作品。

アメリカ南部の町で葬儀社を営んでいる裕福な黒人L.B.ジョーンズ(ロスコー・リー・ブラウン)という男がいて、彼の妻が白人警官の男と浮気をしているので離婚したいと弁護士ヘッジパス(リー・J・コッブ)に相談していた。しかし、弁護士は黒人ジョーンズに冷たい態度を取る。
一方で、久しぶりに故郷に帰って来たソニーという黒人男性がいるが、彼は拳銃を手に帰ってきたのだった。彼は、以前、自分にひどい暴行を加えた白人警官に復讐するつもりであった。
葬儀屋ジョーンズが離婚を言い出したが、彼の妻は不倫をしながらも現生活が快適なので離婚に応諾しない。そのため、離婚調停となりそうだが、そうなると白人警官の名前が当然と公表されることになる。白人警官には妻子がいるのに…。
そのため白人警官は不倫した男として氏名が公表されると、家庭と仕事を失うことになるため、不倫相手に向かって「何とかしろ!」と迫って殴るのだが難しいため、今度は葬儀屋ジョーンズに「離婚を取り下げろ!」と迫って……。

人種差別から生まれる暴力と殺人、消えることの無い憎しみ、そして事件隠ぺい工作に動く警察など、さまざまな問題を描いたウィリアム・ワイラー監督作品であった。

本作を観ていると、どうしても悪い白人警官に追い詰められる黒人たちを応援したくなるのだが、物語展開はなかなか観る者の願うようにはならず、無念の感を抱いてしまう。

また、本作を観終わって「L.B.ジョーンズの解放…というタイトルだが、葬儀屋ジョーンズは何から解放されたのだろうか?」と考えてしまう。「辛い現実、現世からの解放」だとすると余りにもツラ過ぎると思う。
Jimmy

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