TaiRa

ブギーナイツのTaiRaのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
5.0
劇場で観賞。無修正版だからデカチン(作り物)を観て感動できたよ。

久々に観直すと20代のポール・トーマス・アンダーソンの才気走り方に感嘆する。今では適当さも身に着けて最強に近いがこの当時は全部マジって勢い。スゲえワンカット撮っちゃうぞ、とか編集の手際とか、あらゆることを盛り込もうとしてて楽しい。序盤で大量の登場人物の紹介を手際よく終えてポルノ業界のバックステージものに入る。内幕の描写は序盤くらいで、あとは個々人の転落と葛藤をバカバカしくも切なく描く。20代で何でこんな人間の悲喜こもごもをを書けちゃうのか。まずは脚本家として天才だったのがよく分かる。90年代ハリウッドはタランティーノを皮切りに、どこぞの誰だかよく分かんない若者たちに才能さえあれば映画撮らせてた良い時代。今じゃ大物になった役者陣も、みんなイイ顔の連中を集めている。芝居ヘタな芝居が上手いジュリアン・ムーア最高。みっともなさにみんな愛嬌がある。事態が悪化していく終盤の追い込み方も上手いし、そっからラストの解放へ向かう流れが好き。こうやってダメ人間に寄り添う映画しか撮らないから、10代の頃から今に至るまでフェイバリットの作家。
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