CANACO

ブギーナイツのCANACOのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
3.6
久しぶりに再鑑賞。ポルノ業界の興盛と凋落を軸に、高校生から大人までそれぞれが、悩みを抱えながら業界と関わり生き抜いていく群像劇となっている。実在したポルノ男優のジョン・ホームズと、ジョン・ホームズが実際に関与したワンダーランド事件を扱っている。

「全裸監督」が面白いと思った人にはおすすめ。

見終わったあともずっと心に引っかかる、というか貼り付く作品。
バート・レイノルズ演じるジャック監督の家は、社会では自己承認欲求が満たされない人たちの居場所のよう。この業界ならではの擬似家族的な絆、生きづらさを抱える者同士の結束力が感じられる。
貼り付くのは、彼ら、彼女らの弱さ脆さで、それらは他人事ではないからだ。「自分はこんな業界に関わらない」と仮に言ってみたとしても、登場人物たちが抱える不安は誰もが持ちえるもので、本当の意味では切り離せない。

役者陣はみんなよい芝居で、これぞ群像劇という満足感がある。フィリップ・シーモア・ホフマンはむちゃクセの強い脇役なのに、あまりに上手くて笑う。あと、最初はマーク・ ウォールバーグではなく、王子時代のディカプリオにオファーしたというから笑う(そのver.も観たかった!)。「タイタニック」と重なっていたから断ったらしい。
本作が公開された前年に『ファーゴ』に出演したというウィリアム・H・メイシーの無言演技も強烈なインパクト。

余談としてふと思い出すのは、この映画を勧めてくれた人が、「オレ、なんでこんな映画勧めたんだろう」とつぶやいたこと。実はうろ覚えだったのだろう。
一緒に観た時はしんみりとした感想を持ったが、再鑑賞したらむしろ希望があった。良い作品を教えてくれたと感謝している。
CANACO

CANACO